2018年グラミー賞はBruno Marsが総取り。Kendrick Lamerはまたしても主要部門受賞ならず。
Bruno Marsが主要部門含む6部門制覇
本日、2018年のグラミー賞が発表された。
昨年のグラミーはアメリカでホストファミリーとリアルタイムで見ていたのだが、Adeleが独占したり、Chance the Rapperが配信のみで新人賞を受賞するなどした。
今回のグラミーは事前予想ではほぼBrunoとKendrickの一騎打ちになるだろうと言われていた。
Bruno Marsはノミネートされた全部門でタイトル獲得
-獲得部門-
最優秀レコード賞 「24K Magic」
最優秀楽曲賞 「That's What I Like」
最優秀アルバム賞 「24K Magic」
最優秀R&Bソング賞 「That's What I Like」
最優秀R&Bアルバム賞 「24K Magic」
最優秀アルバム技術賞 「24K Magic」
赤字がグラミーの主要部門である。Brunoは、新人賞を除く全ての主要部門を独占した。
Lucky for you, that's what I like
とてもキャッチーでポップテイストなコンテンポラリーR&B。この歌詞を歌って様になるのは彼だけでは無いだろうか。筆者もこの曲は何度もリピートして聴いた。
筆者は実は、以前までのBruno Marsの楽曲はあまり聴いていなかった。楽曲自体は知っていたのだが、どこかハマらなかったからである。しかし、今回の受賞作の24K Magicは何度も通しで聴くぐらい好きである。
私自身Brunoについて詳しい訳では無いが、どうにも今回のアルバムの楽曲は以前までの楽曲とはテイストが異なるように感じた。R&B色が強くなったというか。
昔からのBrunoファンである友人に訪ねたところ、以前までは「僕は君をいつまでも愛し続けるよ」みたいな感じだったのが、今回は「パーティーしようぜイエーイ」みたいな感じが強いらしい。全部が全部そういう訳では無いと思うが。
この24K Magicのアルバムの楽曲は、どこか80年、90年代のブラックミュージックを彷彿とさせるような楽曲が多い。かといって古臭さがあるという訳ではなく、トレンドの中にそういうエッセンスが散りばめられている。
過去のK-POP記事でもこのことについては少し触れている。
sugarshack.hatenablog.com
80's, 90'sを彷彿させるようなファンクなサウンドだが、2:50辺りから当時の流行りであったTrapサウンドとなる。
24K Magicにも収録されている"Finesse"のRemix。フィメールラッパーの新星Cardi Bを客演に迎えている。動画は今回のグラミーでのBrunoのパフォーマンスだが、圧巻の一言。見ながら筆者は鳥肌立ちまくりであった。
途中のゴリゴリのダンスパートやシンセのアレンジなど、原曲とは少し異なるLiveならではのパフォーマンスにとても興奮した。
先ほどの話に戻るが、この曲もボビーブラウンを筆頭に80年代に流行となったニュージャックスウィングのテイストが取り入れられている。
Kendrick はラップ4部門を全制覇
-獲得部門-
最優秀ラップ・パフォーマンス賞 「HUMBLE.」
最優秀ラップ/歌唱・パフォーマンス賞 「LOYALTY. FEAT. RIHANNA」
最優秀ラップ・ソング賞 「HUMBLE.」
最優秀ラップ・アルバム賞 「DAMN.」
最優秀ミュージックビデオ賞 「HUMBLE.」
ラップ4部門は制覇したものの、主要部門での受賞とはならなかった。Kendrickは今までも主要部門に何度もノミネートされているが、未だに主要部門での受賞をしたことが無い。今回こそは獲得するのではないかと大本命候補の筆頭だったが、惜しくもタイトル獲得には至らなかった。
2017年、アメリカで最も消費された音楽ジャンルはHIP HOP/R&Bであった。これは1991年に販売情報の追跡を開始してから初めての快挙である。今回受賞したKendrickのアルバム"DAMN."もこの快挙に大きく貢献した1枚である。
今回のグラミーでのKendrickのパフォーマンス。こちらもBrunoのパフォーマンス同様に圧巻の一言である。
Brunoのパフォーマンスを観ている時に抱いた興奮は、映画のクライマックスをいきなり観せられ、それが最初から最後まで続く感覚に例えるのであれば、Kendrickのパフォーマンスはジェットコースターに乗っている時のように徐々に興奮が高まっていくかのような感覚であった。
筆者はサンフランシスコに住んでいた時にKendrickの"DAMN. tour"をスイス人の友人と実際に生で観ることが出来た。前座は"D.R.A.M"と"Travis Scott"で、周囲の観客が吐き出すマリファナの煙が立ち込める中でライブは行われた。
筆者の1番好きな曲であるアルバムの1曲目"DNA."からライブはスタートし、代表曲の"Alright"や今回の受賞作品"HUMBLE."の時は観客の大合唱が起こった。今まで様々なライブを日本でも観たが、今まで体感したことの無い熱気と興奮に包まれたライブであった。
Nobody pray for me.
It been all day for me.
受賞作品の"HUMBLE."は、2017年盛大にバズった。あちこちのクラブで流れまくっていた。MVもとても特徴的で、どこか狂気じみた怖さがある。
まず聴いて思うのは、Kendrickらしからぬビートだということである。Kendrickの楽曲のビートはメロディアスなものが多い。というのも、このビートを作ったMike Willは元々このビートはGucci Maneというラッパーに渡す予定であったと語っている。
Kendrickにこのビートを聴かせた理由として、もしこのビートの上でKendrickがラップをしたら、彼にとって初めて聴くタイプの曲になるだろうと思ったとも語っている。
Kendrickファンからすれば、この曲はとても新鮮に映ったことだろう。この狙いが見事に功を奏し、2017年のHIP HOPの代表曲に名を連ねることになった。
"HUMBLE."の他にも先ほど挙げた"DNA."や、歌姫リアーナを客演として迎えた受賞作品でもある"LOYALTY."など、アルバム"DAMN."は後にクラシックとしてHIP HOPの歴史に残るであろう名盤となっている。
まとめ
2人のアルバムは2017年に最も聴いた洋楽のアルバムのTOP2だったので、個人的にはアルバム賞でKendrickが受賞し、2人共主要部門タイトル獲得という結果を望んでたいが、やはりBruno Marsは強かった。
結果としてBrunoの独占という結果であったが、どちらのアルバムも聴いていて、本気でグラミー獲りにきてるなと感じるくらいの完成度であり、間違いなく音楽界に大きな影響を与えた作品だと思う。
今回のグラミー賞は、Bruno,Kendrick以外にも、最優秀新人賞を獲得した"Alessia Cara"や、"Location"で世間を賑わせた"Khalid"、Kendrickを擁するレーベルTDEと契約を交わした"SZA"の出現など、見所満載であった。
2018年はどのようなアーティスト、音楽が台頭していくのか、今後も目が離せない。